【SAPのキホン】SAP主要モジュール一覧

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SAPは、世界中の企業が使うグローバルな統合基幹システムです。SAPを導入することで会社全体の業務を最適化・効率化し、企業や事業の成長にあわせて柔軟に対応できるERPシステムです。SAPが提供する最新のERPソリューションはS/4HANAです。S/4HANAのおいても主要モジュールの構成に大きな変更はありません。この記事では、SAPの主要なモジュールを紹介し、活用方法を説明します。

会計領域

会計伝票の入力や総勘定元帳への転記などの一連の会計処理プロセスを対応した領域です。他領域からの自動仕訳で作成された会計データをもとに、総勘定元帳にリアルタイムに転記されます。会社全体の業務で発生するお金の流れがすべて集まり、債務・債権・資産などの形で処理されます。

モジュール名略称説明
財務会計FI (Financial Accounting)企業の財務会計処理をサポートし、連結決算、損益計算書、貸借対照表などの財務報告を提供します。適切な財務管理と監査対応を実現します。
管理会計CO (Controlling)内部管理会計をサポートし、原価計算、利益分析、予算管理などのコスト管理機能を提供します。企業の収益性向上を目指します。
財務/資金管理TR (Treasury)企業の資金管理やリスク管理を支援するモジュールで、現金管理、銀行間取引、証券管理、債務管理などの機能を提供します。これにより、企業の資金繰りやリスクコントロールが効果的に行えます。
経営管理EC (Enterprise Controlling)企業全体の管理会計をサポートするモジュールで、財務会計と連携して経営管理を行います。利益センタ会計、製品原価計算、予算管理などの機能が含まれ、企業の収益性やコスト管理を最適化できます。

ロジスティクス領域領域

モノの供給に関する一連の流れをロジスティックスと言いますが、ロジスティクス領域(ロジ系と表現されることが多い)にはさまざまなモジュールがあります。

モジュール名略称説明
在庫・購買管理MM (Materials Management)購買、在庫管理、請求処理などの物流関連業務を統合し、原材料調達から最終製品の配送までの一連のプロセスを効率化します。
サプライヤー管理SRM (Supplier Relationship Management)取引先管理機能を提供し、調達プロセスの効率化、取引先との協力関係構築、リスク管理などを支援します。調達コスト削減とサプライヤー満足度向上を目指します。
生産管理PP (Production Planning)製造業向けの生産計画、生産管理機能を提供します。需要予測や生産スケジュール作成、リソース最適化などの生産効率向上を実現します。
品質管理QM (Quality Management)QMモジュールは、品質管理や品質検査の効率化を実現します。製品の品質向上が期待できます。
販売管理SD (Sales and Distribution)営業、販売管理、出荷処理、請求書処理などを統合し、受注から出荷、請求までのプロセスを効率化します。顧客満足度向上を支援します。
アフターサービス管理CS (Customer Service)サービス業務の管理をサポートするモジュールで、顧客対応やサービスオーダーの管理、請求処理などを行うことができます。これにより、顧客満足度向上やサービス業務の効率化が図れます。
サプライチェーン管理SCM (Supply Chain Management)サプライチェーン全体を最適化する機能を提供し、需要予測、生産計画、在庫最適化、輸送管理などを統合的に管理し、サプライチェーン効率向上を実現します。
拡張倉庫管理EWM (Extended Warehouse Management)倉庫管理機能を提供し、在庫管理、受発注処理、輸送管理などの効率化を実現します。倉庫スペースの最適化と在庫管理コスト削減を目指します。
物流管理LE (Logistics Execution)物流プロセス全体を管理するモジュールで、倉庫管理、輸送管理、配送処理などの機能が含まれます。これにより、物流コストの削減や効率化が実現できます。

プロジェクト管理領域

企業のプロジェクト遂行を効果的に支援する機能を提供します。企業は、このモジュールを活用することで、プロジェクトの成功確率を向上させ、コスト管理やリソースの最適化を図ることができます。PSモジュールは、大規模な建設プロジェクトや研究開発プロジェクトなど、さまざまな業界で活用されています。

モジュール名略称説明
プロジェクト管理PS (Project System)プロジェクト管理に特化したモジュールで、プロジェクトの計画、実行、監視、そしてコントロールを一元的に行うことができます。これにより、プロジェクトの予算編成、リソース管理、進捗管理、リスク管理などを効率的に遂行することが可能です。

設備・保守領域

モジュール名略称説明
設備予算管理IM (Investment Management)設備投資や研究開発費用など、設備や研究が完了するまでの費用の予実管理を実現します。複数の会社や部門にまたがる共同開発などの取り組みを組織に依存しない形で管理できます。
プラント保全管理PM (Plant Maintenance)設備保守管理機能を提供し、予防保守、修理、メンテナンス計画などの効率的な設備管理を実現します。ダウンタイム軽減を支援します。

人事管理領域

現在もHCMモジュールは存在していますが、SAPのロードマップにおいて、人事管理領域については、タレントマネジメントシステムである「Success Factors」へ移行することを推奨しています。

モジュール名略称説明
人的資本管理HCM (Human Capital Management)人材管理機能を提供し、人事管理、給与計算、人材開発、パフォーマンス管理などの効率化を実現します。人材戦略の最適化と従業員満足度向上を目指します。

顧客関係管理領域

CRMについては、S4/HANAの登場により、CRMの領域は、C/4HANAに置き換わりました。C/4HANAは、マーケティング、セールス、コマース、サービス、カスタマーデータの機能があり、マーケティングからアフターケアまでワンストップで顧客との関係性を管理することができます。

モジュール名略称説明
顧客関係管理CRM (Customer Relationship Management)顧客管理機能を提供し、顧客情報の一元管理、マーケティング活動、営業管理、サービス管理などを効率化し、顧客ロイヤリティ向上を支援します。

統合管理・分析領域

モジュール名略称説明
統合的リスク管理GRC (Governance, Risk, and Compliance)ガバナンス、リスク管理、コンプライアンス機能を提供し、企業のリスク管理体制の強化、法令遵守、内部統制の最適化を支援します。
ビジネスインテリジェンスBI (Business Intelligence)ビジネスインテリジェンス機能を提供し、データ収集、分析、レポート作成などの情報活用を支援します。意思決定の迅速化とデータ駆動型経営の実現を目指します。

まとめ:SAPモジュールの選択と活用

SAPの主要モジュールを理解し、自社の業務に適したものを選ぶことで、業務の最適化や効率化を実現できます。この記事を参考に、最適なモジュールを活用してください。