ボトルネック_制約理論(TOC)

昨今、「働き方改革」への対応やITの積極的な活用など、多くの会社で「業務改善」や「生産性の向上」を経営課題のテーマとして意識し、取り組んでいる状況かと思います。とはいえ、実際に社内で業務改善を進めるといっても、業務改善の具体的な手法やアプローチがわからないといった悩みも多いのではないでしょうか。今回は、業務改善のアイデア手法の一つとして「制約理論(TOC)」にもとづく業務改善方法をご紹介いたします。

制約理論とは

制約理論は、業務全体の最適化を行い、生産性を向上するための考え方です。「ザ・ゴール」の著者であるエリヤフ・ゴールドラット博士が提唱した理論です。制約理論は、「Theory of Constraints(TOC)」の日本語訳となります。

また制約理論は、生産性向上だけでなく、経営マネジメントにも活用できる考えでもあります。組織全体を一つの仕組みととらえ、制約条件となっている問題をシンプルに解決するための経営哲学としても活用されています。

基本的な考え方

制約理論では、「業務全体やシステム全体のパフォーマンスが制約条件に依存していると考え、制約条件を継続的に改善することで、全体のパフォーマンスが向上する」という考えを基本としています。

ここでいう「制約条件」が、いわゆるボトルネック(弱点)のことです。ボトルネックが業務全体のパフォーマンスを左右し、業務全体の流れを止めている制約条件となります。

そのため、業務全体におけるボトルネックを特定し、解消することで、全体最適を図り、全体のパフォーマンスを向上につなげることができます。

制約理論のゴール・目的

制約理論が目指すべきゴールは、「スループットの向上」です。スループットは「時間あたりの処理能力や出来高」をいいます。業務改善においては作業の処理能力が該当します。一方、経営マネジメントの観点では「時間あたりの利益」が最も重要な指標となります。

制約理論を使った業務改善の進め方

制約理論では「集中の5段階」プロセスで継続的な改善を目指します。制約理論は、製造業の製造工程などある程度、定型的な作業工程が決まっている業務に対して有効な改善アプローチです。

ボトルネック解消による業務改善手法

(1)業務全体のボトルネックを見つける

ボトルネックは、業務全体を通して「ムリ、ムラ、ムダ」が発生する箇所や機械装置の生産量など物理的な制約条件が発生している箇所で発見されることが多い。また、外部的な要因としては、顧客の需要や会社の方針(ノルマ)に対応できない場合にボトルネックとして顕在化することが多い。

通常は工場の機会装置など定量的に処理能力がわかる場合は、ボトルネックを把握しやすいですが、バックオフィスなどの業務の場合は、定量的な業務量の把握が難しい場合があります。

その場合、簡単な見つけ方としては、「今の業務量が2倍になった場合に最初に悲鳴が上がるのはどこか」を考えてみることです。

(2)ボトルネックを最大限に活用する

ボトルネックとなっている作業箇所や見つかった場合、ボトルネックの処理能力(スループット)が業務全体の処理能力を決定してしまっている可能性があります。そのためボトルネックのパフォーマンスが落ちるとシステム全体のパフォーマンスの低下に直結することが予想されます。したがって、ボトルネックとなっている作業箇所の処理能力をまずは最大限に活用することが重要となります。

(3)ボトルネックに全プロセスを合わせる

ボトルネックの処理能力が全体のパフォーマンスを決定することから、ボトルネックよりも処理能力が高い作業箇所は、手待ち時間やすぐに必要のない成果物(アウトプット)を先行して作成している可能性が高いです。第3のステップは、ボトルネックの処理能力に業務全体の処理能力を合わせる段階となります。一見、処理能力の低い方に合わせるというのは非効率的な考えに思えますが、全体最適で見た場合には、無駄なコストを避けれるため、正しい対応となります。短納期と少ない在庫を同時に実現する「ドラム・バッファー・ロープ(DBR)」という考え方として有名です。

(4)ボトルネックの能力を高める

第3のステップまででボトルネックの処理能力にあわせて、業務全体の処理能力を低下させ全体最適化がされています。この段階で本質的な原因であるボトルネックの処理能力を最大化することを実施します。ボトルネックの処理能力が向上したら、向上した分だけ、全体の処理能力もあわせて向上させます。結果として業務全体のパフォーマンスがボトムアップする形で改善されることとなります。

(5)ボトルネックが解消されたら、次のボトルネックを探す

ボトルネックが解消されたたら、業務改善が終了するわけではありません。業務全体の処理能力が向上すると、あらたに別箇所でボトルネックが発生するはずである。次のボトルネックを探したら、第1ステップに戻って、あらたな改善のステップを繰り返します。

この改善ステップを継続的に繰り返すことで、業務全体のパフォーマンスが向上し続けることができます。

まとめ

今回は「制約理論(TOC」による業務改善方法を紹介しました。

業務全体の流れを把握し、流れの中でいちばんのボトルネック(弱点)を見つけ、速やかに改善することが、スループット(利益)を向上させるポイントとなります。
まずは、社内でメンバーを集め、業務全体を業務プロセスとして可視化し、どこに最大のボトルネックがあるか議論してみましょう。改善のきっかけを見つけることが最初のスタートです。

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