「自己資金なし!」 それでも創業融資は受けられるのか?

自己資金がない状態で、創業融資って本当に受けられる?

 「会社をつくりたい!でも自己資金がない!」

さまざまなホームページなどで、自己資金がない場合にも創業融資が受けられる!といった広告をご覧になった方もいるかもしれません。

それが本当かどうか、気になるところですよね。

結論から言ってしまえば、自己資金がゼロの状態で、日本政策金融公庫や金融機関の創業融資を受けるのは「ほとんど無理」あるいは「非常に厳しい」ということになります。

基本的には「コツコツ自己資金を貯めてから融資に臨むのがセオリー」ということですね。

では、融資は諦めるしかないのか?

実は、状況次第によっては、諦めなくてもいい場合があります。

公庫融資には自己資金がなくてもよい例外があったり、自治体によっては創業時に使える制度融資に自己資金の定めがない場合があったりします。

自己資金ゼロを前提条件として考えると少しズレがあるので今回は触れませんが、家族・親戚から贈与を受ける、共同経営者の自己資金を認めてもらう、不動産などを融資の担保に入れる……などの方法で融資が受けられる場合もあります。

ここでは公庫融資メニューを、自己資金のない場合でも使いたいという観点からご紹介いたします。

①新創業融資制度の活用(日本政策金融公庫)

日本政策金融公庫での借入れは、創業時に使える融資制度として、とても人気があります。

通常、銀行がお金を貸す場合は会社の実績を見て審査をしますが、新創業の会社にはもちろん実績はありません。

実績がない場合、銀行はお金を貸してくれない場合も多いのです。

しかし日本政策金融公庫は、政府系金融機関ですから、新創業を支援するという国の方針で融資をしています。

ですから、新創業の会社でも融資を受けやすくなっているのです。

しかし、日本政策金融公庫の新創業融資制度には自己資金の要件があり、創業資金の10分の1以上の自己資金があることが融資要件となっています。

創業資金の10分の1を自己資金として用意できない場合「基本的には」融資を申し込むことができないのです。

ところが、新創業融資には「現在の行っている仕事と同じ業種の事業を始める場合」「産業競争力強化法に定める特定創業支援事業の認定を受ける場合」のどちらかを満たしていれば、自己資金の量は問わないという特例があります。

つまり、現在の勤務先から独立して開業、というような場合については自己資金の要件が不要になるのです。

特定創業支援事業の認定は、区市町村からの認定が必要になりますので、かなりハードルが高いかも知れません。

中小企業庁ホームページ

② 中小企業経営力強化資金の活用(日本政策金融公庫)

同じく日本政策金融公庫の融資メニューに「中小企業経営力強化資金」というものがあります。次の条件に当てはまる場合に融資が利用できます。

  • 認定経営革新等支援機関の指導や助言を受けて、新事業分野の開拓等を行う会社
  • 「中小企業の会計に関する基本要領」・「中小企業の会計に関する指針」に従った会計処理を行う会社

どちらの場合についても事業計画の作成が前提となっていて、きちんとした準備が必要となります。

日本政策金融公庫

③自治体の制度融資の活用(信用保証協会制度融資)

自治体(区市町村や都道府県)と信用保証協会が提供している制度融資です。

この制度融資は、「事業を営んでいない個人」であって「創業しようとする具体的な計画を有するもの」が利用できる場合があります。

ただしこちらの要件は、地方自治体によってそもそも制度がなかったり、融資制度や金利などに大きな違いがあったりします。

開業する予定地(本店を置く場所)の自治体の制度を調べて準備する必要があります。

また、信用保証協会の信用保証には審査があり、自己資金がない場合、「既に見込み顧客が明らかになっており、売上の見込みが立っている」など、いっそう綿密な計画が必要になります。

また、自己資金がない場合には、金融機関から提示される金利が高くなる場合が多いので、金利負担が重たくなってしまうなどのデメリットがあります。

④信用金庫・銀行などから融資(各種信用金庫)

自己資金がない場合、基本的には金融機関もあまり取り合ってくれないことは確かです。

ですが非常に狭き門ということになりますが、事業の計画によっては、信用金庫・銀行などの創業融資制度を受ける……という可能性もゼロというわけではありません。

基本的に金融機関での創業融資については自己資金をもとに貸し出す場合が多いのですが、緻密で実効性の高い経営計画と、なぜこの事業を行うのかという高い熱意が伝われば、話を聞いてくれる金融機関もあるかも知れません。

基本的には断られると認識したうえでチャレンジする、といった認識になります。

この方法を取る場合、金融機関に知り合いがいる……など、使えるコネクションがあると有利に進められるかもしれません。

自己資金なしで融資を受ける場合の注意点

これらの制度を駆使して融資を受けようとする場合には2つの注意点があります。

  1. やっぱり自己資金がない場合融資を受けられる確率が下がる
    当然ですが自己資金を貯めてから借り入れを申し込んだ方が融資の確率はぐっと上がります。どうしても起業を急ぐ合理的な理由がなければ、自己資金をコツコツと貯めてから融資に臨みましょう。後述のリスクの低下にも繋がりますよ!
  1. 融資を受けられたとしてもその金額が少ない
    日本政策金融公庫の新創業融資は、だいたい自己資金の2倍まで程度が借り入れの相場となっているようです。自己資金がない場合、多くの場合は借り入れ申し込み額に対して、減額を受けての融資になることが多いようです。
    また、300万円以上の借り入れを受けることはかなりの困難となるでしょう。
    設備資金や運転資金に減額を受けた場合、思ったような経営計画が実行できなかったり資金ショートしやすくなったりといったリスクが生じます。

まとめ

自己資金がないからといってただちに借り入れは不可能!ということではありません。

ただし、自己資金がないよりはあった方が借り入れ可能性も借り入れ可能金額も多くなります。なにより、借り入れ金ですからいずれにせよ返済と利子はつきものです。

十分に事業計画を練って、しっかりした資金計画を立ててから起業を行うことで、事業を成功に導くことができるのです。

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